弓製作家という職業

弦楽器(バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス)の製作家とは別に、それらの演奏に必要な「弓製作家」というジャンルの職業があります。
弦楽器製作家が楽器も弓もすべて扱うと思われていることが多いため、弓製作家という職業があるということをお話すると、長年弦楽器を弾かれてきた方でも驚かれる場合が少なくありません。

実は海外では楽器と弓は完全にそれぞれ別々の職業として分業化されていることが多くあります。

弦楽器の発祥の地がイタリアやドイツであるとすると、現在一般に使われる弓の形を決定づけたのはフランスの弓製作家たちであったこともそうした分業とも関係があるかもしれません。もちろん弦楽器にかぎらず、仕事が細分化され専門化されるのは西欧の特長の一つとも言えると思いますが、現在では弓もまた真剣に取り組もうとするとそれだけで専門の研究をしなければならないほど奥が深く、洗練された1つの分野となっています。

一方、日本には1889年頃からの伝統をもつ杉藤楽弓社(名古屋)や1983年に創業したアルシェ(小田原)などすばらしい弓を作ってきたメーカーもありますが、個人で活動する弓職人はまだまだ少ないのが実情です。
日本ではこれまで学校もなかったことから、専門の職人は開拓すべき分野と言えるでしょう。

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