弓製作家 Slaviero父子による 『フロッグ製作セミナー』

『フロッグの作り方について』nasetto
講師:弓製作家Luca Slaviero(息子) , Emilio Slaviero(父)
日程:2015年11月1日(月)14:00~(約2時間半)

イタリアの楽弓製作家、Emilio Slaviero氏とそのご子息で同じく弓製作家のLuca Slaviero氏による特別セミナーが開催されました。

両氏は弦楽器フェアに合わせて来日されていたのですが、島村楽器テクニカルアカデミーで弓製作コースの立ち上げにあたり、講師の糟谷先生と深い関わりのある事からスペシャルセミナーとして講義をしていただけることになりました。急遽決まった事だったのですが、思いのほか多くの方にお集まりいただき、主催者としては大変嬉しく思いました。

今回のテーマは弓製作工程の1つ、フロッグ作りでした。
フロッグとは弓棹の片端に合って弓の毛を張るために必要な部品で、昔は棹と毛の間にただはまっているだけのものでした。その後、1800年代に改良され、ネジで毛の張り具合を調節出来る様になりました。フロッグ改良に貢献したと言われれるフランスのTourte トルテ一族の中には、もともと時計職人だった人もいたと言われ、小さいながらも非常に精巧な部品となっています。フロッグの改良はモダンBOW(弓)の成立と古典派以降の音楽に決定的な影響を与えたと言われ、歴史の中での重要性も高いです。

講義ではプロジェクターとホワイトボードを使い、製作途中のフロッグや実際に使っている道具を見せていただきながら製作方法を説明してくださいました。

講義をしてくれたLuca氏はイタリア以外でも研鑚を積んでおり、今回の講義では彼がフランスで学んだやり方で教えていただきました。
Luca SlavieroLuca講義
弓は擦弦楽器ではなくてはならないものの一つです。弓がなくては楽器をそもそも奏でる事が出来ず、演奏者によっては楽器より弓の方を重要視する人もいます。
また、弓はパーツが少ない分、細部までよく見られます。素材や形状はもちろん、作業の正確さなども目立ちます。
どこをとっても精巧さが問われる弓作りですが、その中の1つにフロッグがあります。

今回の講義は材料選びから始まりました。
フロッグの主な材料であるエボニー(黒檀)材の選び方です。エボニー材は一見どのように木目が走っているのかはとても分かりにくい材料です。その見分け方についてレクチャーしていただきました。

また、もう一つの材料の銀材の選び方も教えていただきました。こちらも材質により見た目の綺麗さや強度があるのですが、材料による特性やよしあしを製作家の観点からレクチャーしていただきました。

材料選び後、製作手順の説明になりました。
今回、時間があまりなかったので、製作家個人のスタイルとしての形など弓の個性が現れる前までの基礎的な工程や、それらの部位ごとの製作のコツなどを非常に具体的に教えていただきました。

また、工程説明以外ではフロッグの形についてもお話していただきました。フロッグは棹のヘッドと共に製作者の個性が最も出るところで、専門店などで弓を見るときも黄金期の製作者をコピーした物は過去のどの製作者のモデルかひと目で分かるくらい特徴が出ます。今回はその中でも代表的な製作者の特徴をお話していただきました。
短い時間でしたがとても充実した講義でした。

Luca氏の講義の後、棹の材料選びと弓の歴史(特にイタリアでの)についての講義をEmilio氏がしてくださいました。
Emilio Slaviero

棹の材料については「後々曲がって来にくく」かつ、「折れにくい」選び方を、また振動が弓の先端から手元へ伝える為に何が制作において必要という考え方などとても重要なポイントに惜しげも無くふれていたように思います。
こちらも実際にこれから製作したいと思われる方や現在製作をされている方にとってとても興味深い内容ではなかったかと思います。
今回はここまでの講義となりましたが、来年以降も更に踏み込んだ内容をレクチャーしていただける可能性があるとのことでした。

熱心な質問をしていただいた皆様、そして、マエストロEmilio氏とLuca氏、短い日本滞在の多忙な中すばらしい講義をしていただきありがとうございました。
今回、時間があまりなく全て伝えきれなかったため、来年また出来ればとおっしゃっていただきました。
機会がありましたらぜひ続きをお願いしたいと思います!