DRUM TECH STORY第1話“アメリカにて”

1話01
1話02

ここはアメリカ、ニューヨーク、マンハッタンの真ん中。古くから“ドラマーの学校”として知られる場所がある。世界中からドラマー達が集まりスキルを磨く場所で、僕もそれにあこがれて飛び込んだ1人だった。忙しい一日が終わる夜11時頃、やっと学校は静かになる。

トレーニングを終えた僕はロビーで少し休んでいた。そのとき「コン・コン・・・ドゥン・ドゥン・・・ラカッダッ・・・」とドラムの部屋から音が聴こえて来た。“始まったな”と思い、音のする部屋をのぞいて見ると1人のドラマーがドラムをチューニングしている。彼は友達のドラマーで、ドラムテック、長年アメリカに住んでいて活動しているアーティストだ。学校を閉める前に全てのドラムのチューニングとチェックを行っている最中だった。ドラムの部屋を順番に回り、大きなドラムセットから小さなドラムセットまで素早くチューニングしてゆく。

僕が初めて“ドラムテック”と言う仕事を知ったのはこの風景からだった。それからはよくその仕事を側で眺めていては、彼から「このドラムは・・・この音は・・・このシンバルは・・・これはいいね・・・これはイマイチ・・・ちょっと実験しよう・・」などと色々と話しをしてもらっていて、いつも気がつけばかなりの時間を過ごしていた。
次の日の朝、学校が再び始まるとドラマー達はわれ先へとロビーへとなだれ込んで行く。もちろん空いているドラムの部屋を取るためだ。僕もドーナツとコーヒーを落とさないように小走りに“ドラム部屋争奪戦”を毎日のように繰り広げていた。昨日の晩、ドラムテックによって全て綺麗にチューニングされたドラムセットから音が一斉に鳴り出す。

こんな生活の中で僕はプレーヤーに必要なスキルを学びながら同時にドラムテックについても自然に学び始めていた。