■アコースティックギター製作は斯くも難しきものかな

こんにちは。

先日、放課後の2年生教室でアコースティックギターのリペア(リフレット)をしている学生を目撃しました。
何でも10年ほど前に新品で購入したそうですが、さすがに10年も弾いていますとフレットが磨り減ってしまいますね。
新たなフレットを打ち、「あの頃の姿をもう一度」という訳です。
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そんなこんなで、今回の「日々是精進」は、アコースティックギター製作について。

ギターやベースの製作に限らず、何か“もの”を製作する時に使用するものの一つに、“ジグ(冶具)”があります。
ジグは、何かを加工するときに様々に固定・安定させる為に使用し、ギター作りにおいてもとても重要な役割を担っています。
殊更にアコースティックギターの製作は使用するジグの種類も多く、より複雑な構造のものが多いです。

そんなアコギ製作の強い見方、麗しの“ジグ”たちを2つばかり紹介しましょう。

No.1 枠
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そのまんまですね。ボディの横板を曲げるときやボディを組み立てる際に使用します。
アコギの場合は上写真のような外枠で製作されることが多く、この枠を基準に製作が進められ、曲げ・ブロック接着・ライニング接着・表板・裏板接着などの強い見方になります。
そして外枠があれば、内枠もあり。
ギターでは少数派の内枠も、バイオリン族の製作では主流のやり方だそうです。(型と呼ばれます)
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更には、スペイン式のクラシックギター製作の中には枠を使用しないで製作されるものもあります。(枠のようなものはある)

No.2 ドーミングボード
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これ何に使うか分かりますか? 
写真では分かりづらいと思いますが、これは真ん中が凹んでいてその上に紙やすりが敷かれています。凹みは球状になっていて、学校には3種類の半径のものがあります。別名“ディッシュ”とも呼ばれるのですが、まさに皿のような形状です。
このジグの使い道を説明する為にアコギの構造を少し説明しますと、簡単に言うと実はアコギの表板・裏板は微妙に丸くなっているのです。
そしてこのドーミングボードは、その丸い表板・裏板のブレーシング(力木)接着や横板の接着面を出す際に使用するのです。
中々文章で表すのは難しいのですが、やると分かります(笑)。作業の大変さも分かります!

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左写真は実際に裏板のブレーシングを接着している様子です。下に敷いているのがドーミングボードです。
右写真はドーミングボードを作るためのジグです。
言わばジグを作るためのジグ。
厳密に言うと更にこれを作るためのジグもあり、アコギ製作にはなんとも険しい道が待っているのです。(学校では備品としてこれらのジグがありますのでご安心を)

これらのジグは、市販されているものも多いのですが、製作家の多くは自分で作ります。
市販されているものでは「満足できない」「上手くいかない」といったことが多く、自分の考えで、自分の納得いく精度で「作ってしまえ!」というのが職人気質というものなのでしょう。
実際学校にあるジグの大半も講師が製作したものですし(学生の製作が簡単になり過ぎないようには気を付けていますが)、学生にも自分でジグを作る機会をなるべく持ってもらいたいと思っています。

同じ目的でも製作家や工房によってジグは様々です。結果的に同じだとしてもそこに至る道は幾筋もあるという訳ですね。まさに人生・・・。

今回はここまで。
今後も学生の製作の進捗に合わせて、ソリッドボディ用も含めたいろいろなジグを紹介したいと思います。お楽しみに!