社会人からギター技術者になるには

近年、社会人の方でも、転職を念頭にギター業界への道に入られる方が少なくありません。

その理由の多くとしては、今の仕事がつまらない、などのネガティブなものではなく、
ずっとギターやベースなどの楽器が好きで、やっぱりその道に進みたい、と強く意思を持った方が多いように思います。

さて、会社を辞めてギター業界への道を目指すにあたり、大事なこととは何でしょうか。
これまで長年に渡り、様々な形でスタートを切る方々を見てきて、うまく卒業後につなげている方についてはいくつかの共通項があると思いました。必ずしもそうではないケースがあり、主観的な内容も多分に含まれますが、少しでも参考になればと思い、ここに記します。

■「目的をより明確に」
入学前の時点で卒業後の「目的をしぼる」ということがまず大事だと感じます。まず大きな点で言えば、クラフト(製作)を仕事にするのか、リペア(修理)を仕事にするのか。更に、クラフトであればギター工場なのか工房なのか、もしくは自身で工房を経営するのか。リペアであれば,総合楽器店なのか専門店なのか、個人工房なのか。絞った目的に沿って、在学中も技術研鑽を重ねる事で、強みとなります。
分野をしぼって、その分野でのスペシャリストになっていくということです。

大人になると修得までの時間的制約が一層シビアになります。若い人たちのように何度か失敗できるという時間もありません。事前の徹底したリサーチと、自己分析、そして何より不退転の決意が必要になると言えます。

■「これまでのキャリアを生かす」
高校を卒業してですぐにギターの道に入った学生には若さと時間がありますが、社会経験を得てきた大人の方々には、それまでに培ってきた社会人としての素養、異分野の知恵が備わっています。かつて身をおいていた業界では当たり前のことが、楽器業界にとっては新鮮な風となることは珍しくありません。若くして始めれば幅広く深く技術と経験を身につけることができますが、逆に気をつけなければ楽器業界の常識しか知らずに大人になってしまうということも珍しくありません。どのような業界でも風通しが悪くなると、見失われるものが出てくるように思います。

社会経験のある方々は仕事の組み立て方、キャリアパスの描き方などについて仕事を経験したことのない人よりも緻密に設計を立てられる傾向があります。また、社会経験があったからこそ楽器業界の風習を客観的に見ることができ、ビジネスのあり方を考えられるということもあると思いますので、これまでのキャリアで培った力をうまく繋げられないかと考えることも大事な要素ではないかと思います。

■「仲間を作る」
先に、時間的な制約があるために自らの専門分野を絞って臨むということを書きましたが、自分が専門としない分野をカバーするために必要なのは、やはり仲間、同志ではないかと思います。時には自分よりも若い技術者とタッグを組み、お互いの持ち味をうまく持ち合うことで、互いの助けになるはずです。技術の世界に正解はなく、その方法や考え方は無数に存在します。有益な情報交換ができる仲間を見つけていくことはとても重要だと感じます。

またその点では、講師でさえも2年後には同僚となる可能性がある仲間の一人です。学校では様々な講師が出入りしていますが、学校の中においても社会人としてのよい関係性を普段からお互いに築いていくことも大切なことだと感じます。何よりそのほうが仕事もおもしろくなります。

最後に社会人から島村楽器テクニカルアカデミーへ入学し、現在技術者として働く卒業生を紹介します。
「卒業生を追え!」内に記事が掲載されているのでこちらをご覧ください。