CASE2~旋盤③~

皆さんこんにちは。
少し間が空いてしまいましたが、旋盤を題材にした技術ブログをお届けします。
今回でフィナーレです。
(と言っても、前回大幅に情報を出してしまったので・・・・)

前回、管体の欠けた部分の補修を部品の取り付けまで紹介しました。

 

この様に人間の手だけでは難しい作業を、旋盤を使って均等に正確に切削して管体の加工や部品の製作をしました。

今回は前回の続きで、製作したドーナツ状のリングの取り付けからです。
製作した部品がこちら

同じクラリネットの管体から削り出した新しいジョイントの先端部です。
(もちろん使った管体は前回紹介したように、廃棄になった管体です)

この部品を、破損した部分を削り落としたジョイントの先端部に接着固定します。

この先端の細くなった部分にリングを嵌めると、このようになります。

中の一段窪んだ部分が元々の管体ジョイントです。
外側の太い部分が新しく取り付けた部分になります。
境目にちょっと白く見えるのが接着剤ですね。
この接着の作業は時間との闘いなので、1人で写真撮影と作業を行う事が難しかったので接着後の写真です。

ここで、接着剤が硬化するまでしばらく待ちます。
硬化剤を使って短時間で固める事も可能なのですが、私はあまり硬化剤が好きではないので一定時間待ちます(嫌いな理由は人それぞれなので、ここでは触れないでおきます)

さぁ、硬化が終わり、最終の仕上げ作業です。

この新しくなったジョイントの先端部をバレル側の内径に合わせる作業です。
再度、管体を旋盤に固定します。


 
写真で見てもらうと表面がとても綺麗なのが良くわかりますね。
旋盤の切削能力が良くわかりますね。

そして微調整の開始です!
まず、先端を元々のジョイントの位置をベースにして合わせます。
削り過ぎるとジョイントが短くなってしまうので、最後の仕上げは100分の1ミリ単位を目視と指先の感触でチェックしながら削ります。

仕上がるとパッと見た感じではどこまでが新しい部分かわからないですね。

次に外径をバレル側のジョイント内径に合わせます。

刃の角度を変えて回転センターに刃が干渉しない様にしながらの作業です。
ノギスと嵌めるときの感触と、接触痕を見ながら最適な部分まで100分の1ミリ単位で調整をします。
最終的にピッタリの状態から、木材の膨張率を考えて遊びを作ります。
完全にピッタリにしてしまうと、湿度の変化でジョイントがきつくなり抜けなくなったり、最悪管体が割れてしまう危険がある為です。
この遊びは経験なのでやってみてその楽器に1本1本最適な状態を探します。

完成したジョイント先端部がこちらです。

はみ出た接着剤も全て削り落として、ジョイントコルクの接着面にある溝も再建しました。

 

写真でよーくジョイントの先端断面を見てもらうと色の違う境目があるのが判ると思います。
色の薄い部分が元々のジョイント。濃い部分が新しく再建した部分です。
この写真の段階では、表面に何も処理をしていないので良くわかりますね。

これで実質的な修理は終了なのですが、この後ジョイントコルクの巻付けを行います。
そして巻き付けた後の写真がこちらです。

どうです?境目が見えなくなったでしょう?
これはコルクを巻き付けた後の仕上げである処理をしたからです。
最後の仕上げの方法は・・・秘密です。

というのはウソで、
実は、管体に細かい傷(磨き傷の様な細かい傷)をつけて、最終的に油(ボアオイルの類です)を数種類、複数回に分けて塗る事で管体の保護と色合わせをすると写真の様に殆ど判らなくなります。
これは管体のクラック修正(ヒビ割れ修正)の技術でもあります。
割れや今回の様に修正の後は出来る限り見えない様に修理するのはとても難しいのですが、今回は依頼していただいた方にご満足いただける結果になりました。

どうでしたか?
管楽器の修理はタンポやコルクの交換といった定期的な修理もあれば、落としたりする事によって起きる今回の様な修理もあります。

管楽器と一言で言っても、木管楽器と金管楽器では構造は大きく違います。更に木管楽器や金管楽器の中でもかなり構造が違い修理方法も違います。
材料一つとっても木材から金属、樹脂や繊維まで記憶しておかなければいけない知識は非常に多いのが管楽器の修理技術です。

もし、管楽器の修理に興味が沸きましたら是非代官山音楽院・管楽器リペア科の教室に来てみてください。

では、次回をお楽しみ!!