第2回レポート
「ペグ穴の埋め直し(ブッシング)の様々な工法」

11月9日(月)にAndreas Preuss 氏による修理・修復特別講座第二回目が開講されました。

ブッシングとは

今回の主な内容を「ブッシング」にしぼって講義がされました。
「ブッシング」という言葉を初めて耳にされた方もいるかもしれませんので簡単に説明させていただきます。

コントラバスを除くバイオリン属はフリクションペグ(張力を掛けた弦を摩擦の力で固定するペグ)と呼ばれる方式で弦を止めるのが一般的で、チューニング(調弦、音合せ)をするときにはペグと呼ばれるパーツを一度緩めてから、動かし、再度固定をしています。弦はペグに対し強い力で止まっているうえ、頻繁に動かすので長期使用をしていると摩耗や劣化を避けることはできません。ブッシングとは、このペグ通す穴に何かしらの問題が起きた時、穴を埋め直し、その後、開け直す一連の修理のことです。

一言で穴を埋め直すと表現すると単純な作業に思えますが、方法は1つではありません。
ブッシングが難しいのは楽器の状態を見て、最適な方法を選んで進めなくてはならない点にもあるといえるでしょう。

講義の内容

もちろん、今回参加された技術者の方々は、ブッシングについては既に何度も経験し、やり方もそれぞれ整頓されていたはずですが、よりよい修理を追求するため今回の講習に参加されたのだと思います。

講義は、そもそもブッシングがどの様な場合に必要なのか、という基本的なことの確認から始まり、ブッシングの種類、考え方、そして実技での具体的な手順の紹介がありました。これらについては専門の雑誌や書籍でも度々説明がされていますが、Preuss氏からは使用する木材(種類、取れる地域による特徴の違い等)や道具(仕立て方、持ち方)、作業時に使用する治具、などさらに細かいところまで言及がありました。

講義は所々で話が興味深い方向へ脱線し、ときには専門的な質問が飛ぶようなこともありましたが、Preuss氏はこの様な展開でも大変丁寧に説明してくださいました。
ベテラン技術者の声に参加者も次第に熱くなっていきます。
前回もそうでしたが、これこそPreuss氏の講義の醍醐味と言えるかもしれません。
ブッシング以外の様々な知識や、より本音に近い意見が聞けるチャンスでもあるのです。

想像以上に濃い時間となり、第2回目の講義も幕を閉じました。
次回の講義は今回の講義の延長でペグボックスの割れ修理とペグ穴の決め方についてです。
今回の講義内容以上に、判断を要する箇所なので、どの様に展開していくか楽しみですね。