南ドイツ・北イタリア研修旅行⑤ミッテンヴァルト(博物館)

前回に続きミッテンヴァルト初日、午後の様子をお伝えしていきます。

製材所を後にしてからミッテンヴァルトにある「バイオリン博物館(Geigenbau Museum)」を目指します。

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博物館パンフレットにも載っている通り、ミッテンヴァルトは、イタリアのブレーシア、クレモナ、ヴェネツィア、英国のロンドン、フランスのパリ、ミレクール、シェーンバッハ/ ルビー、マルクノイキルヒェンなどと並び、歴史上もっとも重要な位置を占めた弦楽器製作の一大中心地の1つとしての誇りを持ち続けています。
日本でもドイツで学ばれた弦楽器技術者の先達がこの地を訪れ修行し、現在でも一流の腕を振るって仕事をされている方が多くいます。

さて、そのミッテンヴァルトの博物館、規模は大きくはないものの、風景に溶け込む町内の家屋を使った美しい博物館です。

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(左側の赤い建物が博物館)

博物館では、威勢のよい管理人のお兄さんが出迎えてくれました。
「パンフレットは後で手に取って、まずはじっくりと見て!」と言われ、順路に従いそのまま中へ。最初に展示されていたのはこの地方の昔の工房をそのままの姿で保存した一角でした。

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この小部屋、あまりにこじんまりしているように感じられ、博物館用に作られたものなのではないかと思いました。しかし、翌日にミッテンヴァルトの州立弦楽器製作学校にて、うり二つの部屋を見せてもらうことで、正にこの地方の伝統的な工房の姿だったことに得心がいくのですが、この時はまだそれがわかりませんでした。

筆者(講師)も15年ほど前にこの博物館を訪れていましたが、驚いたことに内部は改装され、とても見やすく、以前よりもさらにモダンになっていました。
工房の展示室の後は、ミッテンヴァルトの弦楽器製作史の小部屋に続き、歴史を学びつつ、さらに数々の楽器が展示されている部屋へと続きます。

中でも注目すべきは、この地のバイオリン製作の祖であるマティアス・クロッツMatthias Klotz(1653-1743)や彼の息子 Sebastian をはじめとする子孫の楽器、また当時としてはめずらしくイタリアの工法を取り入れたと言われるJacob Stainer(1617-1683)(※Stainer はミッテンヴァルトからは少し離れたAbsamという村の出身)などによって作られた南ドイツの気風を色濃くもった美しい楽器が展示されていることではないかと思います。

現代の名工の1人と謳われ惜しくも数年前に他界されたJosef Kantuscher氏、長年に渡りミッテンヴァルト州立弦楽器製作学校の校長でもあった名工Leo Aschauer氏(1892-1969)の楽器もありました。こうした近・現代の名工には直接その薫陶に預かった日本人の弦楽器技術者も多くおられます。

通訳を務めてくれた当校卒業生の手戸さんも職人試験を受ける前の州立学校へのスクーリングなどでミッテンヴァルトに滞在していた折りに、まだ存命中だったKantusher氏のもとを訪れ、その真摯な弦楽器製作の姿勢に感銘を受けたと話してくれました。

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博物館は小さくとも1日を過ごせるほどの情報量があり、日程がゆるせば何度も訪問したいと思いました。

この報告レポートにとてもすべては載せきれませんが、数々の楽器や、製作道具の展示とともに、ひと昔前のミッテンヴァルトの弦楽器製作の様子を映した録画の上映もとても興味深いものでした。

この日は製材所から博物館まで休みなしで動いたため、全員腹ペコになり次の予定に移る前に遅めのお昼を食べにミッテンヴァルトでも有名な郷土料理を出すレストラン・アルペンローゼAlpenroseに行きました。

長くなってしまうので今回はこのあたりで休憩をとり、次回の報告で南ドイツの旅の食事情をお伝えしたいと思います!