ミラノ市立弦楽器製作学校研修

研修の初日は、提携校であるミラノ市立弦楽器製作学校の訪問から始まりました。

ミラノ市立弦楽器製作学校は1978年に開校した30年以上の歴史をもつ学校ですが、英国のニューアークの弦楽器製作学校やアメリカのシカゴの製作学校などの同時期に生まれた学校と並び、それまで長く続いた家内制手工業のための職人養成学校とはいくらか違った内容や目的をもって生まれたユニークな学校の一つです。

細かい歴史は別の機会に譲りますが、学校の特色としてはアカデミックな姿勢を大事にしつつ、過去から引き継がれる職人養成の「工房」としての側面も未来に引き継いでいこうとしています。

今回はその中でも、Claudio Canevari先生より、楽器の修理におけるクリーニングの講義を参加者全員で特別受講させていただきました。

楽器の洗浄やクリーニングは、どこの楽器店でも、どのような職人でも手がける仕事のひとつですが、実は最も「可逆性のない」作業のひとつとして、慎重さが求められる仕事の一つです。

可逆性がないという言葉の意味は、いったん手がけてしまうと元に戻すことができないということです。(楽器をきれいにしてしまうと、汚れを元に戻すことはできないということですね)

今回は弦楽器業界、弦楽器職人の間で慣行的に行われているクリーニングの諸問題に光を当てつつ、作業としての実用性、楽器のオリジナリティの保存性と、術者の安全性などにも考慮した方法論について、実技を交えた研究の成果を共有させていただきました。

最新の知見を交えた講義は時に難解ではありましたが、様々な示唆をいただくことができましたので、今後は与えられた素材を私たちがどのように実際の現場扱っていくかということが問われてくると思います。
この研修をきっかけに学生1人1人が研究を深め、様々な分野の専門家とコラボレーションを図るきっかけになればと思いました。

(写真は、今回の受講の様子と、ラボでの実技風景です)
IMG_8360
IMG_8413