ディミトリー・バディアロフ氏によるセミナーが開催されました

『ピリオド楽器のセットアップ理論と実践』

講師:Dmitry Badiarov
弦楽器製作家、演奏家

日程:2006年11月17日(金)~19日(日)

 島村楽器テクニカルアカデミーバイオリンクラフト&リペア科において初めての3日間にわたる専門家向けプロフェッショナル・コースが開催されました。

 コースで扱われたテーマは以下の5つです。

  1. 調弦と弦の種類について
  2. 楽器の支え方、セットアップと支持姿勢の関係
  3. 様々な時代の様々な製作法について
  4. 近代のピリオド・ヴァイオリン
      ~様々な音楽においてどのようにヴァイオリンのセットアップはされてきた

  5. 実技



講習会場の様子
左は通訳を担当した講師高倉、右がD.バディアロフ氏


数日を設けてのプロフェッショナル・コース講習会の開催は、初めてでしたが、熱心な受講生に恵まれました。受講生の皆様からも多くの質問をいただき、非常に密度の濃い時間を過ごせました。



スライド写真による説明
膨大な量の文献資料、絵画資料の紹介が行なわれました 

 セミナー終了時に、受講生の皆様からいただいたアンケートからも「日本でこのようなセミナーが受けられるということが信じられない!」という声も聞かれ、開催者としても改めて講師を引き受けてくださったバディアロフ氏の知識や経験の深さ、また広さを認識するものとなりました。

 当初の予定では、3日間のうち半分を理論講義、残り半分で実技を行なう予定でしたが、前半部において非常に白熱し、多くの質問やディスカッションが行なわれたため、実技は最終日のみ行う形に変更。
 広範なテーマの講義をしていただいたため、3日間ではすべてのご要望にお応えすることはできませんでした。しかし、この機会を通して、勉強の方向性を見直したり、また新たな視点を持つことができたのではないかと思います。

 受講生の方々は、10年以上のキャリアを積まれているベテランの技術者の方、駆け出しの技術者の方、またすでに楽器の製作経験をお持ちの愛好家の方や演奏をされる方までと幅広い方が集まりました。
 中には首都圏にかぎらず、遠くは愛知県や静岡県から泊りがけで受講された方、バディアロフ氏がこれまでにない3日間(通常は1日)の講習会を開催すると聞きつけてイタリアはから駆けつけた弦楽器技術学生の方もおられました。


左:弦選定について話す講師、右:通訳の講師高倉

右:駒足の設置方法について実演する講師

 初の数日に渡る開催ということから、主催者としては次の展開に向けて反省すべきことも多くありましたが、今回、受講生の皆様の声援に応えるべく、よりよい形でのセミナーを今後も模索して行きたいと考えています。

 バディアロフ氏は講習会の翌日には朝5時に起き、ヨーロッパへの演奏旅行に立たなければならないなかで、最後まで手を抜かずに講習をしてくださいました。
 また、初回にも関わらず、信頼して当校のプロフェッショナル・コースを受講していただいた皆様、本当にありがとうございました。



島村楽器テクニカルアカデミー1Fロビーにて、講師陣と受講生の方々

髙倉先生からの一言
D.バディアロフ氏は古楽界ではよく知られた製作者ではありますが、一般の弦楽器愛好家の間ではまだまだ知られていません。しかし、その実は製作などにおいても、たいへん多くの勉強と経験を長年に渡って積んでこられた方です。特にピリオド楽器(バロック・ヴァイオリンなど)についての見識や、独自の探求からは多くの示唆をいただきました。
過去の製作家を見ても例えばマントヴァのピエトロ・グァルネリのように、プロの演奏家であり、プロの製作家であった人というは多くはありませんでした。そのような意味でも演奏家としての意見と、製作家としての意見を併せ持つバディアロフ氏の講習会は大変有意義なものであったと思います。
バディアロフさん、本当にありがとうございます!