第5回レポート
「ネック・グラフティング(継ぎネック)」

プロイス氏の5回目の講義はネック・グラフティング(継ぎネック)についてでした。
ネック・グラフティングは弦楽器の修理・修復に取り組むようになったときに最初に直面する難しい修理の1つですが、比較的頻度が多く見られる修理の1つでもあります。

ネック・グラフティング(継ぎネック)とは

弦楽器のネックと呼ばれる部分は、演奏の際に常に手が当たる部分ですが、このネックをスクロールからペグボックスはオリジナルのものを残したままネックだけを交換するのが、ネック・グラフティング(もしくは継ぎネック)と呼ばれる修理です。

グラフティング修理をする理由

ネック・グラフティングというネックの挿げ替えが必要となる原因は様々です。
修理対象となる楽器は、もともと楽器が製作された時から非常に幅の狭いネックを持っており演奏者にとって十分な弾きやすさが確保できないもの、演奏されることで徐々にネックに凹凸ができてきてしまい削り落としての修正が難しくなってしまったもの、あるいは何度も指板が交換される過程で長い年月の中で徐々にネックが削られてしまい細くなってしまったものなど、いろいろありますが、いずれも演奏のしやすさ・しにくさに直結する問題です。
また、非常に高い湿度、奏者の汗や絶えざる弦からくる負荷が原因となって、過去に行われたネックグラフティングの修理がはずれてきてしまうこともまれにあり、これに対処するために再度ネックグラフティングをし直すこともあります。

講義の内容

講座ではまず最初に私たちが修理・修復において比較的目にする機会の多い5つの種類のネックグラフティングについて、それらの由来やそれぞれのメリット・デメリットなどについての見解をおしえていただきました。

毎回実演が伴いますが、今回は楽器本体からネックをいかに切りはずすか、外した後の余材をどのように処理していくかということなど、修理の準備段階から見せていただくことができました。ネックグラフティングの例としては最も接着面積の少ないケースでしたが、デメリットをいかに克服するかということを考える機会にもなったのではないでしょうか。


接着における難しさをどうコントロールするか、あるいは接着剤の種類などについて今後どのような試みが考えられるか、というアイデアも興味深いものがあったと思います。第2回で実施されたブッシング修理との組み合わせをどのように考えるべきかという点、必ずしもすべてのネックグラフティングの方法で同じ方法をとる必要がないのではないかという点は考えさせられるものがあったでしょう。

また次回以降も参加者の方々の経験を持ちより、より活発な議論が展開されることを期待したいと思います。